日々公開される脆弱性情報。「収集が追いつかない」「どの情報が自社に関係するのか判断できない」と悩んでいませんか。

本記事では、脆弱性情報の収集を自動化する具体的な方法から、おすすめのツール、そして自動化における注意点までを網羅的に解説します。

この記事を読み終える頃には、脆弱性管理の工数を大幅に削減し、セキュリティ体制を強化するための第一歩が明確になるはずです。AX CAMPが提供するAI活用ノウハウに興味がある方も、ぜひ参考にしてください。


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脆弱性情報の収集が重要な理由

脆弱性情報の収集が重要な理由

サイバー攻撃の起点となりうる脆弱性への対策は、現代の企業活動において極めて重要です。特に、攻撃手法の高度化と迅速化が進む現在、脆弱性情報の収集と対応のスピードが事業継続性を左右すると言っても過言ではありません。

なぜ今、迅速な対応が求められるのか?

結論として、脆弱性が公開されてから攻撃に悪用されるまでの時間が、年々短くなっているためです。Google社の調査によると、2023年に追跡された脆弱性が実際に悪用されるまでの時間の中央値は、わずか5日であったと報告されています。(出典:2023年の悪用までの時間の傾向) これは数年前の数週間という単位から劇的に短縮しており、セキュリティ担当者にはこれまで以上の迅速な対応が求められていることを示しています。

攻撃者は脆弱性情報を常に監視しており、パッチが公開されると同時にプログラムを解析(リバースエンジニアリング)して攻撃コードを作成します。そのため、情報公開から数日、場合によっては数時間で攻撃が始まるケースも珍しくありません。このような状況下では、手動でのんびりと情報を収集していては到底間に合わないのです。

情報収集を怠ることで生じるビジネスリスク

脆弱性情報の収集と対応を怠ることは、深刻なビジネスリスクに直結します。ひとたび脆弱性を悪用したサイバー攻撃の被害に遭うと、企業は多岐にわたる損害を被る可能性があります。

具体的には、以下のようなリスクが考えられます。

  • 事業停止による機会損失
  • 顧客情報の漏洩
  • 企業信用の失墜
  • 損害賠償請求
  • 復旧作業に伴う高額な費用

例えば、ランサムウェア攻撃によって基幹システムが停止すれば、生産活動やサービス提供が不可能になり、莫大な売上損失が発生します。また、個人情報が漏洩した場合には、顧客への補償やブランドイメージの低下はもちろん、個人情報保護法に基づく罰則を受けるリスクもあります。情報収集の遅れが、企業の存続を揺るがす事態を招きかねないのです。

手動による脆弱性情報収集の課題

手動による脆弱性情報収集の課題

脆弱性情報の重要性を理解していても、多くの企業がその収集に課題を抱えています。特に、従来の手動による情報収集には限界があり、セキュリティ担当者の大きな負担となっています。

膨大な情報量による工数圧迫と属人化

脆弱性情報は、国内外の様々な機関やベンダーから日々大量に公開されています。公的なデータベースであるJVNやNVD、OSやミドルウェア、各種アプリケーションのベンダーが発表するセキュリティアドバイザリなど、チェックすべき情報源は多岐にわたります。これら膨大な情報を担当者が毎日手作業で確認し、自社システムとの関連性を調査するのは、非常に時間と手間のかかる作業です。

結果として、担当者の業務時間は情報収集だけで圧迫され、本来注力すべき分析や対策の検討といったコア業務に時間を割けなくなります。さらに、この種の業務は専門知識を要するため、特定の担当者に業務が集中しがちです。このような「属人化」は、その担当者が不在の場合に業務が滞るリスクや、退職によるノウハウの喪失といった深刻な問題を引き起こします。

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収集した情報の整理・評価の難しさ

情報を収集するだけでは、脆弱性対策は完了しません。次に、収集した情報が自社のどのシステムに影響するのかを特定し、その深刻度を評価して対応の優先順位を決める必要があります。このプロセスもまた、手動では大きな困難を伴います。

例えば、ある脆弱性情報を見つけたとしても、それが自社で利用しているOSのバージョンやアプリケーションの構成に該当するのかを正確に判断するには、詳細なシステム構成情報を把握していなければなりません。また、脆弱性の深刻度を示すCVSS(共通脆弱性評価システム)スコアが高いからといって、必ずしも自社にとってリスクが高いとは限りません。ネットワーク構成やアクセス制御など、自社の環境を踏まえた上でリスクを評価する必要があるのです。これらの整理・評価作業には高度な専門知識と経験が求められるため、手動での対応には限界があります。

脆弱性情報収集を自動化するメリット

脆弱性情報収集を自動化するメリット

手動での情報収集が抱える課題を解決し、セキュリティ体制を強化する上で、自動化は極めて有効な手段です。自動化によって、これまで情報収集に費やしていたリソースをより戦略的な業務に振り分けることが可能になります。

リアルタイムな情報取得による対応迅速化

自動化の最大のメリットは、脆弱性情報が公開されたタイミングでリアルタイムに検知できる点にあります。ツールやシステムが常に情報源を監視し、新たな情報が公開されると即座に担当者へ通知します。これにより、脆弱性の存在を認知するまでの時間を劇的に短縮できます。

前述の通り、攻撃者は脆弱性公開からわずかな時間で攻撃を仕掛けてきます。自動化によってこの「認知の遅れ」をなくすことは、攻撃者に先んじて対策を講じるための生命線です。認知が早まれば、その分パッチの適用や回避策の実施といった具体的なアクションに迅速に移ることができ、攻撃を受けるリスクを大幅に低減できます。

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担当者の業務負担軽減と生産性向上

脆弱性情報の収集という、時間のかかる定型業務から担当者を解放できることも大きなメリットです。自動化ツールが情報の収集、フィルタリング、関連付けといった作業を代行することで、担当者は毎日情報サイトを巡回するような単純作業から解放されます。

これにより、担当者はより高度な判断が求められる業務、例えば「検知された脆弱性のビジネスインパクト評価」「具体的な対策方法の検討と検証」「セキュリティポリシーの見直し」といった、付加価値の高い仕事に集中できるようになります。これは、担当者のモチベーション向上だけでなく、組織全体のセキュリティレベルの向上、すなわち生産性向上に直結するのです。

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脆弱性情報の主な収集先データベース

脆弱性情報の主な収集先データベース

脆弱性情報の収集を自動化するにあたり、どのような情報源があるのかを理解しておくことは重要です。主に、国内外の公的機関が運営するデータベースと、各製品ベンダーが独自に発信する情報の2種類に大別されます。

公的データベース(JVN, NVD)

公的データベースは、特定のベンダーに依存しない中立的な情報を提供しており、脆弱性管理の基本となる情報源です。代表的なものとして、以下の2つが挙げられます。

  • JVN (Japan Vulnerability Notes):日本の情報処理推進機構(IPA)とJPCERT/CCが共同で運営する、日本国内向けの脆弱性情報ポータルサイトです。(出典:JVNとは
  • NVD (National Vulnerability Database):米国国立標準技術研究所(NIST)が運営する世界最大級の脆弱性データベースです。深刻度を評価するCVSSスコアが付与されているのが特徴です。

JVNは日本語で情報が提供されるため、国内の担当者にとって非常に重要な情報源となります。一方、NVDは世界中の脆弱性情報が集約されており、グローバルな脅威動向を把握する上で欠かせません。

ベンダー独自のセキュリティアドバイザリ

OSやミドルウェア、アプリケーション、ネットワーク機器などの製品開発元(ベンダー)が自社製品に関する脆弱性情報を独自に公開しています。これらは「セキュリティアドバイザリ」や「セキュリティ情報」といった形で提供されます。

例えば、Microsoft、Red Hat、Cisco、Oracleといった主要なベンダーは、自社製品に脆弱性が発見された場合、修正パッチの情報と合わせて詳細な情報を迅速に公開します。自社で利用している製品については、これらのベンダーからの一次情報を直接監視することが、最も確実かつ迅速な対策につながります。多くの自動化ツールは、これらのベンダー情報を収集対象に含んでいます。

【2026年】脆弱性情報収集を自動化するツール・手法5選

【2026年】脆弱性情報収集を自動化するツール・手法5選

脆弱性情報の収集を自動化するには、様々なツールや手法が存在します。ここでは、企業の規模やスキルレベルに応じて選択できる代表的な5つの方法を紹介します。

1. 脆弱性管理ツール (SIDfm, Vuls)

最も専門的で効率的な方法が、脆弱性管理に特化した専用ツールの導入です。これらのツールは、JVNやNVD、各種ベンダーサイトから自動的に情報を収集し、予め登録しておいた自社のシステム構成情報(アセット情報)と突き合わせて、影響のある脆弱性だけを自動でリストアップしてくれます。(出典:脆弱性管理をガイド!

代表的なツールとして、商用では「SIDfm」、オープンソース(OSS)では「Vuls」などが知られています。 SIDfmは日本語の手厚いサポートが特徴で、Vulsは無償で利用できる反面、導入や運用には一定の技術力が必要です。これらのツールは情報収集から影響範囲の特定、対策の進捗管理までを一元的に行えるため、脆弱性管理業務全体を大幅に効率化できます。

2. EDR/XDR製品 (Microsoft Defender for Endpoint)

近年、多くのEDR(Endpoint Detection and Response)やXDR(Extended Detection and Response)製品に、脆弱性管理機能が統合されるようになっています。これらの製品は、PCやサーバーといったエンドポイントに導入されたエージェントを通じて、インストールされているソフトウェアのバージョンを常に監視し、既知の脆弱性を検出します。(出典:Microsoft Defender 脆弱性管理の概要

例えば、「Microsoft Defender for Endpoint」には脆弱性管理機能が含まれていますが、利用できる機能の範囲はプランによって異なります。自社が契約しているライセンスでどこまでの機能がカバーされるのか、事前に確認することが重要です。また、エージェントによる情報収集は従業員のプライバシーに関わる可能性があるため、自動収集するデータ項目とその利用目的を社内規程で明確にし、従業員への通知といった対応も検討しましょう。

3. SOAR/SIEMプラットフォーム

SIEM(Security Information and Event Management)やSOAR(Security Orchestration, Automation and Response)といった、より広範なセキュリティ運用を担うプラットフォームを活用する方法もあります。 これらのプラットフォームは、様々なセキュリティ製品やITシステムからのログ情報を集約・分析する能力を持っています。

この機能を応用し、脆弱性データベースからの情報を定期的に取り込み、それをトリガーとして「影響範囲の調査」「担当者への通知」「チケットシステムへの起票」といった一連の対応プロセスを自動化するワークフロー(プレイブック)を構築できます。柔軟なカスタマイズが可能ですが、構築には専門的な知識が必要です。

4. RPA/iPaaSツール (Power Automate, Zapier)

プログラミングの知識がなくても、比較的容易に自動化を実現できるのがRPA(Robotic Process Automation)やiPaaS(integration Platform as a Service)です。これらのツールを使うと、Webサイトの情報を定期的にチェックしたり、RSSフィードを監視したりといった操作を自動化できます。

例えば、「Power Automate」や「Zapier」といったツールを使い、「JVNの新着情報を毎日チェックし、特定のキーワードが含まれていたらTeamsやSlackに通知する」といった簡単な自動化であれば、すぐに実装できます。 特定の情報源を手軽に監視したい場合に有効な手段です。

5. カスタムスクリプト・API連携

最も柔軟性が高い方法が、プログラミングによるカスタムスクリプトの開発です。NVDなどの多くの脆弱性データベースは、外部のプログラムから情報を取得するためのAPI(Application Programming Interface)を公開しています。

Pythonなどのプログラミング言語を使ってこのAPIにアクセスし、脆弱性情報を取得して自社のデータベースに格納したり、特定の条件に合致した場合にアラートを発したりするスクリプトを自作できます。ただし、APIを利用する際は注意が必要です。例えばNVDは現在API 2.0を提供しており、利用にはAPIキーが必要な場合があります。また、APIの仕様変更(スキーマ変更)や利用回数制限(レート制限)なども考慮した上で、エラーハンドリングを適切に実装する必要があります。(出典:NVD Data Feeds

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自動化ツール・手法選定で失敗しないための比較ポイント

自動化ツール・手法選定で失敗しないための比較ポイント

脆弱性情報収集を自動化するツールや手法は多岐にわたるため、自社の目的や環境に合ったものを選ぶことが成功の鍵です。選定を誤ると、導入したもののうまく活用できない、かえって運用負荷が増えてしまった、といった事態になりかねません。ここでは、選定時に比較すべき重要なポイントを解説します。

比較ポイント解説
情報網羅性(カバレッジ)JVNやNVDといった主要な公的データベースはもちろん、自社で利用しているOS、ミドルウェア、ネットワーク機器のベンダー情報をカバーしているかを確認します。特定のSaaSやニッチな製品を利用している場合は、それらの情報源に対応可能かも重要な選定基準です。
情報の精度(ノイズ)単に情報を収集するだけでなく、自社の環境に関係のない情報をどれだけ排除してくれるかが重要です。不要なアラート(ノイズ)が多いと、本当に重要な情報が埋もれてしまい、担当者の疲弊につながります。自社資産との紐付け精度が高いツールを選びましょう。
システム連携性収集した情報を後続のプロセスにスムーズに連携できるかを確認します。例えば、資産管理台帳、チケット管理システム(Jira, Redmineなど)、チャットツール(Slack, Teamsなど)と連携できると、発見から対処までのワークフロー全体を効率化できます。
導入・運用コストツールのライセンス費用といった初期コストだけでなく、設定や維持管理にかかる人的コスト(運用コスト)も考慮する必要があります。オープンソースのツールは初期費用を抑えられますが、構築やメンテナンスに専門知識が求められる場合があります。
操作性とサポート特に専門のセキュリティ担当者がいない場合、直感的に操作できるインターフェースであることは重要です。また、問題が発生した際に日本語で迅速なサポートを受けられるかどうかも、商用ツールを選定する上での大きなポイントになります。

これらのポイントを総合的に評価し、自社のセキュリティ体制の成熟度や予算、人的リソースに最も適したソリューションを選択することが、自動化プロジェクトを成功に導きます。

脆弱性情報収集の自動化における注意点

脆弱性情報収集の自動化における注意点

脆弱性情報の収集を自動化することは、セキュリティ運用の効率化に大きく貢献しますが、単にツールを導入すれば全てが解決するわけではありません。自動化を成功させるためには、いくつかの重要な注意点を理解しておく必要があります。

収集した情報のトリアージと優先順位付け

自動化ツールはあくまで情報の「収集」と「関連付け」を効率化するものであり、最終的な対応の判断を下すのは人間です。ツールによって大量の脆弱性がリストアップされたとしても、そのすべてに即時対応できるわけではありません。そこで重要になるのが「トリアージ」、つまり対応の優先順位付けです。

優先順位付けは、CVSSスコアのような機械的な深刻度評価だけでなく、「その脆弱性が存在するシステムはインターネットに公開されているか」「攻撃が成功した場合のビジネスインパクトはどれくらいか」「代替の緩和策は存在するか」といった、自社の状況に応じた多角的な視点で行う必要があります。自動化によって生まれた時間を、こうした質の高い分析と意思決定に充てることが求められます。

定期的な自動化プロセスの見直し

一度構築した自動化の仕組みが、未来永劫完璧に機能し続けるわけではありません。情報収集先のWebサイトの仕様変更やAPIのアップデート、社内で利用するシステムの変更など、環境は常に変化します。これらの変化に対応できなければ、自動化プロセスはいつの間にか機能不全に陥ってしまいます。

「情報が正しく収集できているか」「通知は適切に行われているか」「連携先にエラーは発生していないか」などを定期的に確認し、必要に応じて設定をメンテナンスする運用が不可欠です。自動化は「導入して終わり」ではなく、継続的な改善活動とセットで考えるようにしましょう。

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脆弱性情報の収集・管理を自動化し、セキュリティ体制を強化するには、ツールの知識だけでなく、自社の運用に合わせたプロセスを設計・実装できるスキルが不可欠です。しかし、多くの企業では「何から手をつければいいかわからない」「自動化スクリプトを書ける人材がいない」といった課題を抱えています。

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まとめ:脆弱性 情報収集 自動化でセキュリティ体制を強化しよう

本記事では、脆弱性情報収集の重要性から、手動での収集が抱える課題、そして自動化によるメリットと具体的な手法について解説しました。最後に、本記事の要点をまとめます。

  • 脆弱性公開から攻撃までの時間は中央値で5日と極めて短い
  • 手動での情報収集は工数圧迫と属人化を招く
  • 自動化は迅速な対応と担当者の負担軽減に直結する
  • ツール選定では網羅性や連携性が重要な比較ポイントとなる
  • 自動化後も人によるトリアージと定期的な見直しが不可欠

サイバー攻撃が高度化・迅速化する現代において、脆弱性情報の収集・管理の自動化は、セキュリティ対策の標準装備とも言える重要な取り組みです。自動化によって創出された時間とリソースを、より高度な分析や戦略的な対策に振り向けることで、企業全体のセキュリティレベルを飛躍的に向上させられます。

もし、自社だけで自動化を進めることに不安を感じる、あるいはAI活用を含めたより高度な業務効率化に関心がある場合は、ぜひ一度AX CAMPにご相談ください。貴社の状況に合わせた最適な自動化プランをご提案し、その実現を強力にサポートします。


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