「既存のSaaS型MA(マーケティングオートメーション)ツールでは機能が多すぎ、コストも高い」「自社のデータと連携させ、もっと柔軟な施策を打ちたい」と感じていませんか。

AWS(Amazon Web Services)を利用すれば、必要なサービスを組み合わせることで、自社のビジネスに最適化されたMA基盤を構築できます。

本記事では、AWSでMAを実現する具体的な方法、主要サービスの組み合わせ、目的別の構築例、そして2026年10月に予定されているAmazon Pinpointのサービス終了に伴う対策まで、専門的な知見を交えて詳しく解説します。

この記事を読み終える頃には、SaaS型ツールに代わる選択肢として、AWSで自社独自のMA基盤を構築するための具体的なステップと、そのメリットを明確に理解できるでしょう。AX CAMPが提供するAI活用に関する資料も、貴社のマーケティングDXを加速させる一助となるはずです。


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目次
  1. AWSにおけるマーケティングオートメーション(MA)とは?
  2. AWSでマーケティングオートメーションを構築するメリット
  3. AWSでMAを構築する際の注意点
  4. Amazon Pinpointサービス終了と今後の対策【2026年10月】
  5. AWSでMAを実現する主要サービス
    1. メッセージ配信:Amazon SNS / Amazon SES
    2. シナリオ実行:AWS Lambda / AWS Step Functions
    3. データ収集・分析:Amazon Kinesis / Amazon S3 / Amazon Athena
    4. パーソナライズ:Amazon Personalize
  6. 【目的別】AWSサービスを組み合わせたMA構築例
    1. 構築例1:Eコマース向けのパーソナライズドメール配信基盤
    2. 構築例2:アプリユーザー向けのエンゲージメント向上基盤
  7. AWS上で利用できるおすすめMAツール8選【2026年版】
  8. 自社に合ったAWSマーケティングオートメーションの選び方
  9. AWSでマーケティングオートメーションを導入する手順
  10. AWSを活用したマーケティングオートメーションの成功事例
    1. 事例1:Route66様の事例
    2. 事例2:WISDOM社様の事例
    3. 事例3:企業名非公開様の事例
  11. MA基盤としてのAWSと生成AIの連携
    1. Amazon Bedrockによるマーケティングコンテンツの自動生成
    2. 顧客サポートの自動化と高度化
  12. AWSの学習リソースとコミュニティ
  13. コストを最適化するためのポイント
  14. セキュリティ対策で考慮すべきこと
  15. AWSでのマーケティングオートメーション構築はAX CAMPにご相談ください
  16. まとめ:AWSでのマーケティングオートメーション構築で自社に最適なMA基盤を実現

AWSにおけるマーケティングオートメーション(MA)とは?

AWSにおけるマーケティングオートメーション(MA)とは?

AWSにおけるマーケティングオートメーション(MA)とは、単一の製品ではなく、AWSが提供する多彩なクラウドサービスを連携させて作り上げる、自社専用のマーケティング自動化基盤を指します。顧客データの収集・分析からセグメンテーション、そしてパーソナライズされたメッセージ配信まで、一連のプロセスを自在に自動化します。

従来のSaaS型MAツールが提供する画一的な機能とは異なり、AWSでは適切な設計を行えば、自社のビジネス要件やデータ構造に合わせたMA環境を柔軟に組み立てられる点が最大の特徴です。例えば、ECサイトの購買データやアプリの利用ログといった独自データを直接活用し、リアルタイムで顧客一人ひとりに最適化されたアプローチを実現できます。

このアプローチは、既存ツールに限界を感じている企業や、より高度なデータドリブンマーケティングを目指す企業にとって、極めて有効な選択肢と言えるでしょう。

AWSでマーケティングオートメーションを構築するメリット

AWSでマーケティングオートメーションを構築するメリット

AWSでMA基盤を自社構築する最大のメリットは、圧倒的な柔軟性と拡張性にあります。ビジネスの成長や市場の変化に応じて、必要なサービスをいつでも追加・変更でき、常に最適なMA環境を維持することが可能です。

具体的には、主に以下の4つのメリットが挙げられます。

  • コストの最適化:利用した分だけ支払う従量課金制で、無駄な費用を抑制できます。
  • データ管理の主導権:自社環境でデータを一元管理し、外部サービスへの依存を減らせます。
  • 高度なカスタマイズ性:200以上のサービスを組み合わせ、独自の施策を実行できます。
  • 高いスケーラビリティ:事業の成長に合わせて、リソースを即座に拡張可能です。

これらの利点について、次から詳しく見ていきましょう。

まず、コストを従量課金制で最適化できる点が大きな魅力です。SaaS型MAツールのような高額な固定費は不要で、実際に利用した分だけ支払う仕組みのため、小規模なキャンペーンから無駄なくスタートできます。さらに、長期利用を約束する「リザーブドインスタンス」や「Savings Plans」を活用すれば、オンデマンド料金に比べて最大72%の大幅な割引も受けられます。(出典:料金 – Amazon EC2 リザーブドインスタンス

次に、自社のAWSアカウント内でデータを一元管理できるため、データガバナンスを強化できる点も重要です。もちろん、個人情報保護法などの法令遵守や、暗号化・アクセス管理といった適切なセキュリティ設定が前提ですが、外部サービスにデータを預ける場合に比べ、データ活用の自由度が高まります。ただし、AWSの「責任共有モデル」に基づき、クラウド「における」セキュリティ(データ、OS、ネットワーク設定など)は利用者側の責任となる点を理解しておく必要があります。(出典:責任共有モデル

さらに、AWSが提供する200以上のサービスを自由に組み合わせられるため、他システムとの連携や独自のロジック実装など、高度なカスタマイズが実現できます。(出典:IAM Access Analyzer のポリシー生成で、200 を超える AWS のサービスの対象範囲を拡大)例えば、機械学習サービス「Amazon SageMaker」と連携させ、顧客の離反予測モデルをMAシナリオに組み込むといった、SaaSでは難しい施策も実行できます。

最後に、スケーラビリティも忘れてはならない利点です。キャンペーンの規模拡大や顧客データの急増に合わせて、コンピューティングリソースを瞬時に拡張できるため、機会損失やパフォーマンス低下の心配がありません。


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AWSでMAを構築する際の注意点

AWSでMAを構築する際の注意点

AWSでMA基盤を構築する際には、その自由度の高さゆえに考慮すべき点がいくつか存在します。最も重要なのは、構築と運用に専門的な技術知識が不可欠であることです。SaaS型ツールのようにGUIで設定が完結するわけではなく、AWSの各サービスの仕様を理解し、それらを連携させるための設計・開発スキルが求められます。

具体的には、以下の3つの点に注意が必要です。

  • 技術的負債の発生:初期設計が不十分だと、将来の改修が困難になるリスクがあります。
  • 運用・保守コスト:インフラ監視や障害対応など、継続的な人的リソースが必要です。
  • セキュリティ責任:AWSの「責任共有モデル」に基づき、利用者側での対策が必須です。

まず、初期のアーキテクチャ設計が不十分だと、将来的に機能追加や改修が困難になる「技術的負債」を抱えるリスクがあります。長期的な視点に立った拡張性の高い設計が極めて重要です。

次に、インフラの監視、障害発生時の対応、各サービスのアップデート追随など、継続的な運用・保守コスト(人的リソース)が発生することを念頭に置く必要があります。自動化できる部分は積極的に自動化し、運用負荷を軽減する工夫が求められます。

最後に、セキュリティ対策の責任は自社にあります。AWSは堅牢なインフラを提供しますが、その上で動作するアプリケーションやデータのセキュリティ設定(アクセス権管理、暗号化など)は、利用者側が責任を持って行う必要があります。AWSの「責任共有モデル」を正しく理解し、適切な対策を講じることが不可欠です。

Amazon Pinpointサービス終了と今後の対策【2026年10月】

Amazon Pinpointサービス終了と今後の対策【2026年10月】

AWSは、マーケティングコミュニケーションサービスであるAmazon Pinpointのサポートを2026年10月30日をもって終了すると公式に発表しました。 これに伴い、2025年5月20日以降は新規顧客のサインアップが停止されます。 現在Pinpointを利用している企業は、サービス終了までに代替サービスへの移行を完了させる必要があります。(出典:Amazon Pinpoint からの移行

この変更は、多くの開発者やマーケターにとって重要な意味を持ちます。既存のPinpointサービスは期日まで利用できますが、それ以降は利用できなくなるため、計画的なデータのエクスポートや代替機能への移行準備が不可欠です。

具体的な対策の第一歩は、自社がPinpointのどの機能(メッセージ配信、セグメント管理、ジャーニー機能、分析など)を主に利用しているかを正確に把握することです。その上で、後継となるサービスを選定し、計画的にデータとワークフローを移行する必要があります。

後継サービスの有力な候補としては、Eメール配信にはAmazon Simple Email Service (SES)、SMSやプッシュ通知にはAmazon Simple Notification Service (SNS)が挙げられます。 これらはPinpointの各配信機能を個別に担うサービスであり、より専門的でスケーラブルな基盤を提供します。これらのサービスとAWS Lambdaなどを組み合わせることで、Pinpointで実現していたシナリオ配信を再構築することが可能です。(出典:Amazon Pinpoint からの移行


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AWSでMAを実現する主要サービス

AWSでMAを実現する主要サービス

AWSでマーケティングオートメーション基盤を構築する際は、複数のサービスを目的別に組み合わせて使用します。中心となるのは、メッセージ配信、シナリオの実行、データ収集・分析、そしてパーソナライゼーションの4つの領域を担うサービス群です。これらを連携させることで、柔軟で強力なMA基盤が完成します。

ここでは、それぞれの領域で中核となる主要なサービスを紹介します。

メッセージ配信:Amazon SNS / Amazon SES

メッセージ配信は、顧客との直接的な接点となる重要な機能です。AWSでは、Amazon Simple Notification Service (SNS)Amazon Simple Email Service (SES) がこの役割を担います。

Amazon SNSは、プッシュ通知やSMS(ショートメッセージサービス)といった、モバイルデバイス向けのショートメッセージ配信に特化したサービスです。(出典:Amazon SNS(フルマネージド型の Pub/Sub サービス))アプリケーションの更新通知や、ユーザーへのリアルタイムなアラート送信などに活用できます。

一方、Amazon SESは、Eメール配信に特化したサービスです。マーケティングメールやトランザクションメール(購入完了通知など)を、高い到達率で大規模に配信する能力を持ちます。ただし、前述の通り、SNSとSESは配信機能に特化しているため、Pinpointのような高度なセグメント管理や分析機能が必要な場合は、他のサービスとの組み合わせが前提となります。

シナリオ実行:AWS Lambda / AWS Step Functions

「特定の顧客が特定のアクションをしたら、次のメッセージを送る」といった複雑なマーケティングシナリオを実行するためには、AWS LambdaAWS Step Functions が中心的な役割を果たします。

AWS Lambdaは、サーバーを意識することなくコードを実行できる「サーバーレスコンピューティング」サービスです。例えば、「顧客が商品をカートに追加したが購入しなかった」というイベントをトリガーに、リマインドメールを送信する処理をLambdaで実装できます。

AWS Step Functionsは、複数のLambda関数や他のAWSサービスを組み合わせたワークフローを簡単に構築・管理できるサービスです。複雑な分岐や待ち時間を含む長期間のシナリオ(例えば、トライアル登録後の1週間にわたるフォローアップメール配信など)を、視覚的なインターフェースで設計し、実行状態を確実に管理できます。

データ収集・分析:Amazon Kinesis / Amazon S3 / Amazon Athena

効果的なマーケティング施策の基盤となるのが、顧客行動データの収集と分析です。この領域では、Amazon KinesisAmazon S3Amazon Athena の3つのサービスが強力なデータパイプラインを形成します。

Amazon Kinesisは、ウェブサイトのクリックストリームやアプリケーションのログといった、大量のデータをリアルタイムで収集・処理するためのサービスです。発生したイベントを即座に捉え、後続の処理へと引き渡します。

収集されたデータは、高い耐久性と拡張性を持つオブジェクトストレージサービスであるAmazon S3に保存されます。S3はデータレイク(あらゆる形式のデータをそのままの形で保存するリポジトリ)の中核として機能し、企業の貴重なデータ資産を安全に保管します。

そして、S3に蓄積されたデータに対して、標準的なSQLを用いて直接クエリを実行できるのがAmazon Athenaです。サーバーの管理は不要で、特定の条件に合致する顧客リストを抽出したり、キャンペーンの効果を分析したりといった作業を、手軽かつ迅速に行えます。

パーソナライズ:Amazon Personalize

顧客一人ひとりに最適化された体験を提供するためには、Amazon Personalize が非常に有効です。これは、Amazon.comで実際に使用されているレコメンデーション技術を、機械学習の専門知識がなくても利用できるようにしたサービスです。

ユーザーの行動履歴やアイテムのメタデータを取り込むだけで、そのユーザーが次に関心を持ちそうな商品やコンテンツを予測し、リアルタイムで推薦リストを生成します。これにより、「あなたへのおすすめ」といった機能をウェブサイトやメールマガジンに簡単に実装でき、顧客エンゲージメントとコンバージョン率の向上に大きく貢献します。

【目的別】AWSサービスを組み合わせたMA構築例

【目的別】AWSサービスを組み合わせたMA構築例

AWSの各サービスが持つ機能を理解したところで、次にそれらをどのように組み合わせて具体的なマーケティング課題を解決するのか、目的別の構築例を見ていきましょう。ここでは、代表的な2つのユースケース「Eコマース向けのパーソナライズドメール配信」と「アプリユーザー向けのエンゲージメント向上」を取り上げます。

これらの例を通じて、AWSのサービスを連携させることで、いかに柔軟で強力なMA基盤を構築できるかが具体的にイメージできるはずです。

構築例1:Eコマース向けのパーソナライズドメール配信基盤

Eコマースサイトにおいて、顧客一人ひとりの興味関心に合わせたおすすめ商品をメールで配信する基盤の構築例です。このシステムでは、Amazon Personalizeを活用して顧客ごとに最適化されたレコメンデーションを生成し、メール配信の開封率やクリック率の向上を目指します。

まず、サイト上のユーザー行動データ(閲覧履歴、購入履歴など)をAmazon Kinesisでリアルタイムに収集し、データレイクであるAmazon S3に蓄積します。S3に蓄積されたデータをAmazon Personalizeが学習し、各ユーザー向けのレコメンデーションモデルを作成します。

次に、AWS Step Functionsで定期的なメール配信ワークフローを定義します。このワークフローは、Amazon Athenaを使ってS3から配信対象となる顧客リストを抽出し、各顧客に対してAmazon Personalizeからおすすめ商品のリストを取得します。最後に、取得した商品情報を含むHTMLメールを生成し、Amazon SESを通じて配信を実行します。この一連の流れを自動化することで、手間をかけずに継続的なパーソナライズ施策が実現できます

構築例2:アプリユーザー向けのエンゲージメント向上基盤

モバイルアプリの利用を促進し、ユーザーの離脱を防ぐためのエンゲージメント向上基盤の構築例です。このシステムでは、ユーザーのアプリ内行動をトリガーとして、適切なタイミングでプッシュ通知を送信します。

ユーザーがアプリ内で特定のアクション(例:特定の機能を初めて利用、一定期間ログインがない)を行うと、そのイベントデータがAmazon Kinesisを通じてリアルタイムに処理されます。イベントデータはAWS Lambdaに送られ、Lambda関数内で「どのような通知を送るべきか」というロジックが実行されます。

例えば、「最終ログインから3日が経過した」というイベントであれば、休眠復帰を促すメッセージを送信する、といった判断を行います。送信するメッセージが決定したら、LambdaはAmazon SNSを呼び出し、対象ユーザーのデバイスにプッシュ通知を配信します。この仕組みにより、ユーザーの状況に応じたきめ細やかなコミュニケーションを自動で実現し、アプリの継続利用率を高めることができます。


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AWS上で利用できるおすすめMAツール8選【2026年版】

AWS上で利用できるおすすめMAツール8選【2026年版】

AWSのサービスを組み合わせて自社でMA基盤を構築するアプローチに加え、AWS Marketplaceで提供されているサードパーティ製のMAツールを利用する方法もあります。これらはAWSのインフラ上で最適に動作するように設計されており、自社構築の手間を削減しつつ、AWSの堅牢性やスケーラビリティといったメリットを享受できます。

ここでは、AWS上で利用可能なおすすめのMAツールを8つ厳選してご紹介します。各ツールの特徴を比較し、自社の目的や規模に合ったものを選びましょう。

ツール名 特徴 主なターゲット
HubSpot CRMプラットフォームを基盤とし、マーケティング、セールス、カスタマーサービスの機能が統合されている。無料プランから始められる。 中小企業から大企業まで幅広く対応
Adobe Marketo Engage BtoBマーケティングに強みを持ち、リード育成からABM(アカウントベースドマーケティング)まで高度な機能を提供。 中堅・大企業
Account Engagement (旧Pardot) Salesforceとのシームレスな連携が最大の特徴。営業とマーケティングの連携を強化したい企業に最適。 Salesforce導入企業、BtoB企業
Braze モバイルアプリやWebプッシュ通知など、クロスチャネルでの顧客エンゲージメントに特化。リアルタイムなコミュニケーションを実現。 BtoC企業、モバイルアプリ提供企業
Twilio Segment CDP(カスタマーデータプラットフォーム)としての機能が強力。散在する顧客データを統合し、あらゆるツールに連携可能。 データ活用を重視する中堅・大企業
Mautic オープンソースのMAツール。自社サーバーにインストールして利用するため、カスタマイズの自由度が非常に高い。 技術力があり、独自性を求める企業
Customer.io 柔軟なセグメンテーションとワークフロー構築が特徴。エンジニアフレンドリーで、API連携が容易。 スタートアップ、Webサービス提供企業
Iterable AIを活用した個別最適化機能「Iterable AI」が強み。チャネルごとの配信内容やタイミングを自動で最適化。 BtoC企業、Eコマース事業者

自社に合ったAWSマーケティングオートメーションの選び方

自社に合ったAWSマーケティングオートメーションの選び方

自社に最適なAWSマーケティングオートメーションの形を選ぶためには、「何を達成したいのか」という目的を明確にすることが最も重要です。目的によって、フルスクラッチで自社構築すべきか、AWS上で提供されるMAツールを利用すべきか、あるいはその両方を組み合わせるハイブリッド型が良いのかが変わってきます。

選定を進めるにあたり、以下の4つの観点から自社の状況を整理することをお勧めします。

  • ビジネス目標の明確化:新規リード獲得、顧客単価向上など、具体的なKPIを定めます。
  • 技術リソースの評価:自社構築にはAWSエンジニアが不可欠。不在の場合は外部委託やMAツールを検討します。
  • 予算とコスト効率:初期開発費用と運用費用を比較。長期的な視点でROIを評価します。
  • 将来の拡張性:ビジネスの成長に合わせてスケールできるアーキテクチャを選びます。

まず、「ビジネス目標の明確化」では、「新規リード獲得数の増加」「顧客単価の向上」「解約率の低下」など、MA導入によって解決したい課題を具体的に定義します。この目標が、必要な機能やアーキテクチャを決定する上での羅針盤となります。

次に、「技術リソースの評価」です。AWSサービスを組み合わせて自社構築する場合、AWSに精通したエンジニアの存在が不可欠です。社内に適切な人材がいない場合は、外部パートナーへの委託や、比較的導入が容易なAWS MarketplaceのMAツールを選択することが現実的な選択肢となります。

「予算とコスト効率」の観点では、初期開発費用と継続的な運用費用を試算します。自社構築は初期コストがかかる場合がありますが、長期的に見ればライセンス費用が不要なためコストを抑えられる場合があります。一方、MAツールは月額費用が発生しますが、迅速に導入できるメリットがあります。

最後に、「将来の拡張性」も考慮しましょう。現在はシンプルなメール配信だけで十分でも、将来的にはAIによるレコメンデーションや、他システムとの高度な連携が必要になるかもしれません。ビジネスの成長に合わせてスケールできるアーキテクチャを選択することが、長期的な成功の鍵となります。


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AWSでマーケティングオートメーションを導入する手順

AWSでマーケティングオートメーションを導入する手順

AWSでマーケティングオートメーション基盤を導入するプロセスは、計画的かつ段階的に進めることが成功の鍵です。主に「要件定義」「設計」「構築」「テスト・導入」の4つのステップに分かれます。各ステップでやるべきことを明確にし、着実に実行していきましょう。

以下に、それぞれのステップにおける具体的な作業内容を解説します。

  1. 要件定義
    まず、MAを導入して何を解決したいのか、具体的な目標(KPI)を設定します。例えば、「休眠顧客への自動アプローチにより、月間のアクティブユーザー数を5%向上させる」といった具体的な目標です。次に、その目標を達成するために必要な機能を洗い出します。「顧客属性と行動履歴に基づいたセグメント作成機能」「パーソナライズされたメールコンテンツの自動生成機能」など、必要な機能をリストアップします。
  2. アーキテクチャ設計
    要件定義で洗い出した機能を実現するために、どのAWSサービスを組み合わせるかを決定します。例えば、「データ収集はKinesis、データ保管はS3、シナリオ実行はStep FunctionsとLambda、メール配信はSES」といった形で、最適なサービスの組み合わせを設計します。データの流れやサービス間の連携方法を明確にしたシステム構成図を作成することが重要です。
  3. 開発・構築
    設計したアーキテクチャに基づき、実際の環境構築と開発作業を進めます。AWS Lambdaに関数を実装したり、AWS Step Functionsでワークフローを定義したりします。この段階では、コードの品質やセキュリティ設定にも十分注意を払いながら作業を進める必要があります。
  4. テスト・本番導入
    構築したシステムが要件定義通りに動作するかを検証します。少量のテストデータを用いて、シナリオが意図した通りに実行されるか、メッセージが正しく配信されるかなどを確認します。問題がなければ、本番環境へ移行し、実際の顧客データを対象にMA施策を開始します。導入後も、効果測定を継続的に行い、PDCAサイクルを回して改善を続けることが重要です。

AWSを活用したマーケティングオートメーションの成功事例

AWSを活用したマーケティングオートメーションの成功事例

AWSを活用することで、企業はマーケティング活動において大きな成果を上げています。ここでは、AX CAMPの支援を通じてAI活用を推進し、業務効率を飛躍的に向上させた企業の事例を3つ紹介します。これらの事例は、AWSの柔軟性と拡張性を活かすことで、具体的なビジネス課題をいかに解決できるかを示しています。

※本セクションで紹介する事例は、直接的なAWSのMA基盤構築事例ではありませんが、AI活用によるマーケティング業務の自動化・効率化という観点で、AWS活用のポテンシャルを示す好例です。

事例1:Route66様の事例

マーケティング支援を手掛けるRoute66様では、コンテンツ制作に大きな課題を抱えていました。AX CAMPによるAI執筆ツール導入支援の結果、これまで1本の記事作成に24時間かかっていた原稿執筆が、わずか10秒にまで短縮されました。 この劇的な時間短縮により、コンテンツの量産体制が実現し、マーケティング施策の展開スピードが大幅に向上しました。※本事例は個別の成果であり、利用状況により結果は異なります。

(出典:原稿執筆が24時間→10秒に!Route66社が実現したマーケ現場の生成AI内製化

事例2:WISDOM社様の事例

SNS広告やショート動画制作を事業とするWISDOM社様では、事業拡大に伴う業務負荷の増大が課題でした。AX CAMPのAI研修プログラム導入により、これまで採用予定だった2名分の業務をAIが完全に代替することに成功しました。 特に、毎日2時間を要していた煩雑な調整業務が自動化され、既存社員はより創造的な業務に集中できるようになりました。

(出典:採用予定2名分の業務をAIが代替!WISDOM社、毎日2時間の調整業務を自動化

事例3:企業名非公開様の事例

ある企業では、組織全体でのAIツール活用が思うように進んでいないという課題がありました。AX CAMPのAI研修プログラムを導入し、実践的なトレーニングを通じて社員のAIリテラシーを向上させました。結果として、各部門で自律的な業務改善が進み、全社的な生産性向上に繋がりました。具体的な数値成果は非公開ですが、AI活用が組織文化として根付く大きな一歩となりました。

(出典:AX CAMP社内計測資料)


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MA基盤としてのAWSと生成AIの連携

MA基盤としてのAWSと生成AIの連携

AWSで構築したMA基盤は、生成AIサービスと連携させることで、その能力を飛躍的に向上させることができます。特に、Amazonが提供する生成AIサービス「Amazon Bedrock」を組み合わせることで、マーケティングコンテンツの制作から顧客との対話まで、多くのプロセスを自動化・高度化できます。

ただし、生成AIの利用には注意も必要です。個人情報や機密情報をプロンプトに含めない設計、利用リージョンの確認、ログ保持ポリシーの設定など、データガバナンスとプライバシー保護の観点を十分に考慮した上で導入を進めることが重要です。これらの点を踏まえ、具体的な連携方法のユースケースを2つ紹介します。

Amazon Bedrockによるマーケティングコンテンツの自動生成

Amazon Bedrockを活用することで、Eメールの件名や本文、LP(ランディングページ)のキャッチコピー、SNS投稿文といったマーケティングコンテンツをAIに自動生成させることが可能です。

例えば、AWS Step Functionsで組んだシナリオの中に、Amazon Bedrockを呼び出すステップを組み込みます。顧客セグメントやキャンペーンの目的に応じたプロンプト(指示文)をBedrockに渡すことで、ターゲットに最適化された文章を動的に生成します。生成されたコンテンツはAmazon SESやSNSを通じて自動的に配信され、A/Bテストの高速化や、マイクロセグメントごとのメッセージ出し分けといった、手動では困難だった施策が実現できます。

顧客サポートの自動化と高度化

生成AIは、顧客サポートの領域でも大きな力を発揮します。MA基盤と連携させることで、よりパーソナライズされた質の高いサポートを自動で提供できるようになります。

具体的には、Amazon Bedrockとチャットボットサービスを組み合わせ、ウェブサイトやアプリ上で顧客からの問い合わせに24時間365日対応する仕組みを構築します。MA基盤が持つ顧客の購買履歴や行動データを参照させることで、「以前購入した商品について」といった文脈を理解した、一人ひとりに寄り添った回答が可能になります。これにより、顧客満足度の向上とサポート部門の業務負荷軽減を同時に実現します。

AWSの学習リソースとコミュニティ

AWSの学習リソースとコミュニティ

AWSでMA基盤を自社構築・運用していくためには、継続的な学習が不可欠です。幸いなことに、AWSは公式ドキュメントから無料のデジタルトレーニング、認定資格、ユーザーコミュニティまで、非常に充実した学習リソースを提供しています。

これらのリソースを有効活用することで、最新のサービス情報をキャッチアップし、技術的な課題を解決するためのヒントを得ることができます。

  • AWS ドキュメント:各サービスの仕様やチュートリアルが網羅された一次情報源です。
  • AWS トレーニングと認定:600以上の無料デジタルトレーニングで体系的に学べます。
  • AWS ユーザーグループ(JAWS-UG):全国のユーザーと情報交換できるコミュニティです。

まず基本となるのが、網羅的で詳細な情報が記載されている公式の「AWS ドキュメント」です。各サービスの仕様や設定方法、チュートリアルなどが日本語で提供されており、開発を進める上での一次情報源となります。

体系的に知識を学びたい場合は、「AWS トレーニングと認定」がおすすめです。初心者向けの基礎コースから専門分野別の詳細なコースまで、600以上の無料デジタルトレーニングが用意されています。また、自身のスキルを証明する「AWS認定資格」を目指すことも、学習のモチベーション維持に繋がります。

さらに、実践的なノウハウや他のユーザーとの情報交換の場として、「AWS ユーザーグループ(JAWS-UG)」の活用も非常に有効です。日本全国に50以上の支部があり、定期的に勉強会やイベントが開催されています。実際にAWSを活用しているエンジニアから直接アドバイスをもらえる貴重な機会となるでしょう。


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コストを最適化するためのポイント

コストを最適化するためのポイント

AWSを利用する大きなメリットの一つはコスト効率の良さですが、その恩恵を最大限に受けるためには、利用状況を可視化し、継続的に最適化を行う意識が重要です。何も考えずにサービスを使い続けると、想定外のコストが発生する可能性もあります。ここでは、コストを適切に管理し、削減するための3つの重要なポイントを紹介します。

  • AWS Cost Explorerの活用:コストの内訳を可視化し、分析する習慣をつけます。
  • 適切なインスタンスタイプの選択:ワークロードに合わせてリソースを最適化(スケールダウンなど)します。
  • リザーブドインスタンスとSavings Plans:長期利用をコミットし、大幅な割引を受けます。

まず、「AWS Cost Explorer」を定期的に確認する習慣をつけましょう。これは、AWSの利用料金をグラフで可視化し、サービス別やタグ別にコストの内訳を分析できるツールです。どのサービスにどれくらいの費用がかっているかを正確に把握することが、最適化の第一歩となります。

次に、EC2インスタンスなどリソースベースのサービスを利用する場合は、ワークロードに適したインスタンスタイプを選択することがコスト削減に直結します。常にCPU使用率が低いのに高性能なインスタンスを使い続けている場合は、より小さなインスタンスタイプに変更する(スケールダウン)ことで、コストを大幅に削減できます。

最後に、安定的・継続的に利用するリソースがある場合は、「リザーブドインスタンス(RI)」や「Savings Plans」の活用を検討しましょう。これらは、1年または3年の長期利用をコミットすることで、オンデマンド料金に比べて大幅な割引(最大72%)を受けられる料金モデルです。 MA基盤のように常時稼働するシステムでは、大きなコスト削減効果が期待できます。ただし、割引率はプラン、支払い方法、期間によって異なるため、事前のシミュレーションが重要です。(出典:料金 – Amazon EC2 リザーブドインスタンス

セキュリティ対策で考慮すべきこと

セキュリティ対策で考慮すべきこと

AWSでMA基盤を構築する上で、セキュリティ対策は最も重要な要素の一つです。顧客の個人情報や企業の機密データを扱うため、万が一のインシデントが発生した場合の損害は計り知れません。AWSが提供する堅牢なセキュリティ機能を正しく理解し、「最小権限の原則」と「多層防御」の考え方に基づいて対策を講じることが不可欠です。

具体的に考慮すべき主要なポイントは以下の通りです。

  • IAMによるアクセス管理:必要最小限の権限のみを付与し、不正アクセスのリスクを低減します。
  • VPCによるネットワーク分離:重要なリソースをプライベートなネットワーク空間に配置し保護します。
  • データの暗号化:保管データと通信経路の両方を暗号化し、盗聴や改ざんを防ぎます。

まず、「AWS Identity and Access Management (IAM)」を用いて、ユーザーやサービスへのアクセス権限を厳格に管理します。各ユーザーやプログラムには、その役割を果たすために必要最小限の権限のみを付与する「最小権限の原則」を徹底してください。 これにより、不正アクセスや操作ミスによる影響範囲を限定できます。(出典:IAM Access Analyzer のポリシー生成で、200 を超える AWS のサービスの対象範囲を拡大

次に、「Amazon Virtual Private Cloud (VPC)」を利用して、AWSクラウド内に論理的に分離されたプライベートなネットワーク空間を構築します。インターネットから直接アクセスできるパブリックサブネットと、内部処理のみを行うプライベートサブネットを明確に分け、データベースなどの重要なリソースはプライベートサブネットに配置することで、不正なアクセスから保護します。

そして、保管するデータと通信経路の両方でデータの暗号化を徹底します。Amazon S3に保存する顧客データは「AWS Key Management Service (KMS)」を利用して暗号化し、サービス間の通信はSSL/TLSで暗号化することで、データの盗聴や改ざんを防ぎます。これらの対策を組み合わせることで、安全なMA基盤を運用できます。


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AWSでのマーケティングオートメーション構築はAX CAMPにご相談ください

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AWSを活用したMA基盤の構築は、貴社のマーケティングを次のステージへ引き上げる大きな可能性を秘めています。しかし、その実現にはAWSの専門知識と、マーケティング戦略をシステムに落とし込むためのノウハウが不可欠です。「どこから手をつければ良いかわからない」「社内に専門家がいない」といった課題をお持ちではありませんか。

私たち株式会社AXが提供する「AX CAMP」は、そのような企業様を支援するための実践的なAI研修・伴走支援サービスです。 単なるツールの使い方を教えるだけでなく、貴社のビジネス課題を深く理解し、AWSや生成AIを活用した具体的な解決策の設計から実装、そして社内での内製化までをトータルでサポートします。

AX CAMPの強みは、貴社の実務に直結したカリキュラムにあります。一般的な研修とは異なり、貴社が実際に抱えるマーケティング課題をテーマに、AWSを用いたMA基盤のプロトタイプを構築する、といった超実践的なプログラムをご提供します。このプロセスを通じて、社員の皆様は生きたスキルを習得し、研修終了後には自律的にシステムを運用・改善できる人材へと成長します。

AWSでのMA構築や生成AIの活用にご興味をお持ちでしたら、まずは一度、弊社の専門コンサルタントにご相談ください。貴社の状況に合わせた最適なステップをご提案します。


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まとめ:AWSでのマーケティングオートメーション構築で自社に最適なMA基盤を実現

本記事では、AWSを活用してマーケティングオートメーション(MA)基盤を構築する方法について、そのメリットから具体的なサービス、構築手順、注意点に至るまで網羅的に解説しました。

改めて、重要なポイントを以下にまとめます。

  • 柔軟性と拡張性:AWSなら必要なサービスを組み合わせ、自社に最適なMA基盤を構築できる。
  • コスト最適化:従量課金制により、スモールスタートが可能で無駄なコストを削減できる。
  • Pinpoint終了への備え:2026年10月のサービス終了に向け、SESやSNSへの移行だけでなく、エンゲージメント機能の代替策を計画的に検討する必要がある。
  • 生成AIとの連携:Amazon Bedrockを組み合わせることで、コンテンツ生成などを自動化し、施策を高度化できる。
  • 専門知識の必要性:構築・運用には専門知識が求められるため、計画的な人材育成や外部パートナーの活用が鍵となる。

SaaS型MAツールがフィットしないと感じている企業にとって、AWSでの自社構築は、データ主導のマーケティングを次のレベルへと進化させるための強力な選択肢です。この記事で紹介した内容を参考に、ぜひ自社独自のMA基盤構築への第一歩を踏出してください。

もし、AWSや生成AIの導入・活用に関して専門的なサポートが必要な場合は、ぜひ「AX CAMP」にご相談ください。貴社のマーケティングDX実現を、経験豊富な専門家が強力にバックアップします。


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