「MAツールを導入したものの、効果的なシナリオが描けず、メールの一斉配信にしか使えていない」と悩んでいませんか。
あるいは、「これからMAを導入するが、成果を出すためにシナリオ設計の具体的な方法を知っておきたい」と考えているかもしれません。
本記事では、マーケティングオートメーション(MA)におけるシナリオ設計の基本から、すぐに使えるBtoB・BtoC別の具体例、そしてAIを活用した最新トレンドまでを図解付きで網羅的に解説します。
読み終える頃には、自社の顧客に合わせた最適なアプローチを自動化し、成果を最大化するための具体的な道筋が明確になるはずです。
なお、AIを活用したマーケティング施策の立案や実行について、専門家の支援を受けながら実践的に学びたい方は、当社の「AX CAMP」の資料もぜひご覧ください。
記事:【AI導入しないことが経営リスクになる時代】先行企業が手にした圧倒的な競争優位とは?
- マーケティングオートメーション(MA)におけるシナリオとは?
- MAでシナリオを活用する3つのメリット
- シナリオ設計の前に不可欠な2つの準備
- 【テンプレート付き】MAシナリオ設計の基本4ステップ
- シナリオ分岐の考え方と設定のコツ
- 【BtoB/BtoC別】今すぐ使えるMAシナリオ具体例7選
- MAシナリオでよくある失敗例と回避策
- シナリオ設計・運用を成功させるための4つのポイント
- シナリオ設計を効率化するおすすめMAツール5選
- MAシナリオの成果を最大化するAI活用の最新動向
- シナリオは複雑で不要?スモールスタートの重要性
- スコアリングとシナリオの連携活用術
- シナリオのPDCAサイクルを回す方法
- MAのシナリオ設計にお悩みならAX CAMPへ
- まとめ:効果的なMAシナリオでマーケティングを自動化しよう
マーケティングオートメーション(MA)におけるシナリオとは?

結論として、MAにおけるシナリオとは見込み顧客(リード)の行動や属性に応じて、あらかじめ設定したアプローチを自動的に実行するための計画や筋書きのことです。顧客一人ひとりの興味関心や検討段階に合わせて、最適なタイミングで最適な情報を届けることを目的とします。
例えば、「特定の製品ページを3回以上閲覧したユーザーに、翌日その製品の導入事例を送る」といった一連の流れを設計し、自動で実行するのがシナリオ機能です。この仕組みによって、マーケティング活動の効率化と高度化を両立させ、成果の最大化を目指せるのです。
MAでシナリオが重要視される理由
MAでシナリオが重要視されるのは、顧客一人ひとりに合わせたコミュニケーション(One to Oneマーケティング)を、大規模かつ自動で実現できるためです。現代の顧客は、自分に関係のない画一的な情報には反応しにくくなっています。
シナリオを緻密に設計することで、顧客の行動履歴や関心度に基づいたパーソナライズされたアプローチができます。その結果として、顧客との良好な関係を築き、長期的な信頼を獲得することにつながるのです。
シナリオ機能で実現できること
MAのシナリオ機能を使えば、これまで手動で行っていた多くのマーケティング業務を自動化できます。主な活用例は以下の通りです。
- ステップメール配信
- 休眠顧客の掘り起こし
- ホットリードの通知
- Webサイトでの接客
- カゴ落ち対策
これらの施策は、顧客の特定の行動(トリガー)を起点に自動で実行されます。例えば、資料をダウンロードした顧客に対して、3日後、1週間後、1ヶ月後と段階的に異なる内容のメールを送る(ステップメール)ことで、継続的な関係性を構築し、顧客の検討度を効果的に高めていくことができます。
MAでシナリオを活用する3つのメリット

MAでシナリオを活用することには、単なる業務効率化にとどまらない、事業成長に直結する大きなメリットがあります。ここでは、代表的な3つのメリットを具体的に解説します。
1. 属人化を防ぎ業務を効率化
シナリオは、優れたマーケターの思考プロセスやノウハウを仕組み化するものと言えます。一度効果的なシナリオを設計すれば、誰が担当でも安定した品質のマーケティング施策を継続的に実行できます。これにより、担当者のスキルや経験に依存する「属人化」を防ぎます。
また、メール配信やリードのスコアリングといった定型業務を自動化することで、担当者はより創造的な業務、例えばコンテンツ企画やデータ分析、戦略立案などに集中できるようになります。結果として、チーム全体の生産性が向上するでしょう。
実際に、当社のAX CAMPの伴走支援をご利用いただいたWISDOM社様は、AIを活用したシステム開発により、毎日2時間の調整業務を自動化し、採用予定だった2名分の業務負荷を代替することに成功しました。(出典:【WISDOM】AI導入で採用2名分の業務を代替!毎日2時間の調整業務を自動化し、事業のコア業務に集中できる環境へ。) このように、自動化は単なる時間短縮だけでなく、採用コストの削減や事業のコア業務へのリソース集中を可能にします。※これは個別の事例であり、同様の成果を保証するものではありません。
2. 顧客体験の向上とLTV最大化
シナリオに基づいたアプローチは、顧客一人ひとりにとって「ちょうど良いタイミング」で「興味のある情報」を届けることを可能にします。自分に無関係な情報が送られてくるストレスがなく、常に有益な情報を提供してくれる企業に対して、顧客は信頼と愛着を感じるようになります。
このような優れた顧客体験(CX)の提供は、顧客満足度の向上に直結します。満足度の高い顧客は、リピート購入や上位プランへのアップグレード、知人への紹介など、長期的に企業へ利益をもたらす優良顧客(ロイヤルカスタマー)になる可能性が高まります。結果として、LTV(顧客生涯価値)の最大化につながるのです。
3. 機会損失の削減とコンバージョン率向上
人手による対応では、見込み顧客へのアプローチが遅れたり、対応が漏れたりすることが避けられません。特に有望な見込み顧客への対応の遅れは、競合他社に流れてしまう大きな機会損失となります。
MAのシナリオを使えば、Webサイトでの特定の行動やスコアの急上昇といった顧客の重要なサインを即座に捉え、自動で次のアクション(メール送信や営業担当への通知など)を実行できます。これにより、顧客の興味関心が最も高まった瞬間を逃さずアプローチできるため、商談化率や成約率といったコンバージョン率の向上が期待できます。
SNSマーケティングを手掛けるC社様は、AX CAMPの支援のもと、AIを活用した自動化システムを内製化しました。その結果、これまで1日3時間以上かかっていたSNS運用業務をわずか1時間に短縮し、月間1,000万インプレッションを達成しています。(出典:【C社様】SNS運用3時間→1時間!月間1,000万impを達成した、AI自動化システム内製化への挑戦) このように、自動化によって施策の量と質を両立させることが、大きな成果につながります。※当社の支援により、当該顧客の公開データを基に算出。個別の事例であり、同様の成果を保証するものではありません。
シナリオ設計の前に不可欠な2つの準備

効果的なMAシナリオを設計するためには、いきなりツールの設定を始めるのではなく、その土台となる顧客理解を深める準備が不可欠です。ここでは、特に重要な「ペルソナ設計」と「カスタマージャーニーマップ」の2つについて解説します。
ペルソナ設計で見込み顧客を具体化する
ペルソナとは、自社の製品やサービスにとって最も重要で象徴的な顧客像を、具体的な人物として詳細に設定したものです。年齢、性別、職業、役職といった基本情報に加え、価値観、情報収集の方法、抱えている課題や悩みまでをリアルに描き出します。
ペルソナを設計することで、シナリオのターゲットである「誰」が明確になります。AX CAMPでは、貴社の顧客データやアクセス解析情報をもとに、実践的なペルソナ設計ワークショップを実施しています。これにより、机上の空論ではない、データに基づいた顧客像を描き出し、チーム内で共通認識を持ってシナリオ設計を進めることが可能になるのです。
カスタマージャーニーマップで顧客行動を可視化する
カスタマージャーニーマップとは、ペルソナが製品やサービスを認知し、興味を持ち、比較検討を経て購入や契約に至るまでの一連のプロセスを可視化したものです。 各段階でペルソナが「どのような行動をとり」「何を考え」「どんな感情を抱くか」そして「どこに接点を持つか」を時系列で描き出します。
このマップを作成することで、顧客の行動プロセス全体を俯瞰できます。その結果、「この段階の顧客には、課題解決のヒントになる情報を提供しよう」「この行動が見られたら、次の検討段階に進んだサインだから、導入事例を送ろう」といった、各タッチポイントで最適なアプローチをシナリオに落とし込むことができるようになります。AX CAMPの伴走支援では、このマップ作成も実データを用いてサポートします。
【テンプレート付き】MAシナリオ設計の基本4ステップ

MAのシナリオは、4つの基本要素「ターゲット」「タイミング」「コンテンツ」「チャネル」を順に定義していくことで、論理的に設計できます。このフレームワークに沿って進めることで、誰でも効果的なシナリオを作成可能です。(出典:MAのシナリオ設計はどうやるの?成果につながる設計のコツを解説)
STEP1: 「誰に」届けるかターゲットを定義する
最初のステップは、シナリオの対象となる顧客セグメント、つまり「誰に」アプローチするのかを明確に定義することです。事前に準備したペルソナを基に、MAツールに蓄積されたデータを使って具体的なターゲットリストを作成します。
ターゲットの定義には、以下のような条件が使われます。
- 属性情報(企業規模、業種、役職など)
- 行動履歴(ウェブサイト閲覧、メール開封など)
- 興味関心(特定の製品カテゴリへの関心度)
- 検討段階(スコアや特定の行動に基づく)
例えば、「BtoB向けSaaS」「従業員100名以上」「過去1ヶ月以内に料金ページを閲覧」といった条件でセグメントを作成します。ターゲットが明確であるほど、その後のアプローチの精度が高まります。
STEP2: 「いつ」アプローチするかタイミングを見極める
次に、定義したターゲットに対して「いつ」アクションを起こすのか、そのタイミング(トリガー)を設定します。タイミングはシナリオの効果を大きく左右する重要な要素です。顧客の行動を起点にすることが基本となります。
代表的なトリガーには、以下のようなものがあります。
- フォーム送信(資料請求、問い合わせ)
- 特定ページの閲覧(料金ページ、導入事例)
- メールの開封・クリック
- 設定スコアの超過
- 一定期間の無反応(休眠状態)
例えば、「料金ページの閲覧」をトリガーにすれば、価格に関心のある検討段階の進んだ顧客を捉えることができます。「3ヶ月間Webサイトへの訪問がない」をトリガーにすれば、休眠顧客の掘り起こしシナリオを開始できます。
STEP3: 「何を」提供するかコンテンツを決定する
ターゲットとタイミングが決まったら、その顧客セグメントに「何を」伝えるか、つまり提供するコンテンツを決定します。コンテンツは、ターゲットがそのタイミングで最も知りたい、あるいは課題解決に役立つ情報でなければなりません。
顧客の検討段階に合わせて、以下のようなコンテンツを使い分けます。
| 検討段階 | コンテンツの例 |
|---|---|
| 認知・興味関心 | お役立ちブログ記事、業界レポート、無料セミナー |
| 比較検討 | 製品資料、導入事例集、機能比較表、お客様の声 |
| 導入決定 | 料金プラン、無料トライアル、個別相談会、限定クーポン |
例えば、初めて資料をダウンロードした顧客にはまず課題解決のヒントとなるブログ記事を、料金ページを閲覧した顧客には具体的な導入事例や機能比較表を送るといった設計が考えられます。
STEP4: 「どのように」伝えるかチャネルを選定する
最後に、決定したコンテンツを「どのように」届けるか、最適なチャネル(媒体)を選定します。多くのMAツールでは、メールを中心に多様なチャネルをシナリオに組み込むことが可能です。
主に利用されるチャネルは以下の通りです。
- メール
- SMS(ショートメッセージ)
- Webサイト上のポップアップ
- LINE
- Webプッシュ通知
- 営業担当への通知(メール、チャットツール連携)
BtoBであればメールや営業担当への通知が中心ですが、BtoCではLINEやSMSなども有効です。SMSを配信する際は、特定電子メール法に基づき、事前の同意(オプトイン)取得と、配信停止(オプトアウト)の方法を明記することが義務付けられている点に注意が必要です。ターゲットの属性やコンテンツの緊急性に応じて、最も効果的なチャネルを選択することが重要です。
シナリオ分岐の考え方と設定のコツ

MAシナリオをより効果的にするためには、「分岐」の考え方が重要です。分岐とは、顧客の反応に応じてその後のアプローチを変化させる仕組みのこと。画一的なアプローチではなく、顧客一人ひとりの行動に合わせたコミュニケーションを実現します。
顧客のアクションをトリガーに分岐させる
最も基本的な分岐の方法は、顧客のアクションをトリガーにすることです。例えば、送ったメールに対する顧客の反応によって、その後のシナリオを分岐させます。
具体的な分岐設定の例は以下の通りです。
- メールを開封したか?
- 【YES】→ 3日後に追加情報メールを送信
- 【NO】→ 1週間後に件名を変えて同じメールを再送
- メール内のリンクをクリックしたか?
- 【YES】→ 関連する製品の導入事例を送付
- 【NO】→ 別の切り口のお役立ち情報を提供
このように顧客の反応に応じてアプローチを変えることで、関心の高い顧客にはより深い情報を提供し、関心の低い顧客には再度興味を引くような働きかけを行うなど、きめ細やかな対応が可能になります。
スコアリングを活用して分岐させる
もう一つの強力な分岐方法が、スコアリングの活用です。スコアリングとは、見込み顧客の属性や行動に点数を付け、興味関心の度合いを数値化する機能です。
例えば、以下のように点数を設定します。
- 料金ページの閲覧:+15点
- 導入事例のダウンロード:+20点
- セミナーへの参加:+30点
このスコアを利用して、「合計スコアが100点を超えたら、インサイドセールスへ通知する」「スコアが30点未満の顧客には、まずは業界のトレンド情報を提供する」といった分岐シナリオを設計できます。これにより、営業担当は最も有望な見込み顧客に集中でき、マーケティング部門はまだ検討段階の浅い顧客をじっくり育成する、といった効率的な役割分担が実現します。
【BtoB/BtoC別】今すぐ使えるMAシナリオ具体例7選

ここでは、BtoB(法人向けビジネス)とBtoC(個人向けビジネス)のそれぞれで、すぐに実践できる代表的なMAシナリオの具体例を7つ紹介します。 自社のビジネスモデルに合わせて参考にしてください。
1. 【BtoB】資料ダウンロード後のステップメール配信
Webサイトからホワイトペーパーなどの資料をダウンロードした見込み顧客に対し、段階的にメールを自動配信するシナリオです。ダウンロード直後のお礼メールから始まり、数日後に関連情報、1週間後に導入事例、2週間後にセミナー案内といった形で、徐々に関心を高めていきます。
2. 【BtoB】休眠顧客の掘り起こし
過去に接点はあったものの、長期間(例:90日間)Webサイトへの訪問やメールの開封がない「休眠顧客」を対象とするシナリオです。最新の業界トレンドや調査レポート、新しい導入事例といった有益な情報を提供し、再度関心を喚起することを目指します。
3. 【BtoB】インサイドセールスへのホットリード通知
見込み顧客が特定の行動(料金ページの閲覧、見積もりシミュレーションの実施など)をとったり、スコアが一定の基準値を超えたりした際に、即座にインサイドセールスや営業担当者にメールやチャットで通知するシナリオです。最も確度の高い瞬間を逃さず、迅速なアプローチを可能にします。
4. 【BtoC】カゴ落ちユーザーへのリマインドメール
ECサイトで商品をカートに入れたものの、購入せずに離脱してしまったユーザー(カゴ落ち)に対して、リマインドメールを送るシナリオです。離脱から1時間後、24時間後などタイミングを分けて複数回送ることで、購入を後押しします。「買い忘れはありませんか?」というシンプルなリマインドのほか、クーポンの提供や関連商品のおすすめなども有効です。
5. 【BtoC】初回購入後のアップセル・クロスセル促進
初めて商品を購入した顧客に対して、関連商品(クロスセル)やより上位の商品(アップセル)をおすすめするシナリオです。購入した商品の使い方や活用法の紹介とあわせて、「この商品を買った人はこちらも見ています」といったレコメンドをメールで送ることで、顧客単価の向上を狙います。
6. 【BtoC】誕生日や記念日に合わせたクーポン配信
顧客データベースに登録された誕生日や、会員登録日などの記念日に合わせて、特別クーポンやお祝いメッセージを自動で配信するシナリオです。パーソナルな特別感を演出し、顧客ロイヤルティを高める効果が期待できます。
ただし、このシナリオを実施する際は個人情報の取り扱いに注意が必要です。個人情報保護法に基づき、マーケティング目的での利用には顧客からの明確な事前同意(オプトイン)が求められます。また、特定電子メール法に準拠し、送信者情報の明記や配信停止の方法を案内することも義務付けられています。
7. 【BtoB/BtoC共通】Webサイト訪問者へのポップアップ表示
特定のページを閲覧している、あるいはサイトからの離脱を試みようとしているユーザーに対して、Webサイト上にポップアップウィンドウを表示するシナリオです。関連資料のダウンロードを促したり、限定セールの案内をしたり、チャットでの相談を促したりと、リアルタイムでのコミュニケーションを実現します。
MAシナリオでよくある失敗例と回避策

MAシナリオは強力なツールですが、設計や運用を誤ると期待した効果が得られません。 ここでは、多くの企業が陥りがちな失敗例とその回避策を解説します。
シナリオが複雑すぎて管理できない
失敗例:最初から全ての顧客行動を網羅しようと、無数の分岐を持つ巨大で複雑なシナリオを設計してしまう。結果として、誰も全体像を把握できなくなり、改善や修正が困難になる。
回避策:まずは最も重要な課題を解決する、シンプルで一本道のシナリオから始めることが重要です(スモールスタート)。例えば、「資料請求から3営業日以内に導入事例を送付し、クリックしたリードをリスト化する」といった成果に直結する一つのシナリオから始め、そのリストからの商談化率をKPIとして効果検証を繰り返しながら徐々に分岐や対象を増やしていくアプローチが成功の鍵です。
顧客視点が欠けていて効果が出ない
失敗例:企業側の「売りたい」という都合ばかりを優先し、顧客の興味やタイミングを無視したシナリオを設計してしまう。結果、メールは開封されず、配信停止が増加する。
回避策:ペルソナとカスタマージャーニーマップに基づき、常に顧客視点でシナリオを設計することが不可欠です。「この顧客は今、何に悩んでいるのか?」「どんな情報があれば次のステップに進めるのか?」を考え、売り込みではなく、顧客の課題解決に貢献するコンテンツを提供することを心がけましょう。
データに基づかず仮説だけで設計してしまう
失敗例:担当者の勘や思い込みだけで、「きっとこうだろう」という仮説に基づいてシナリオを設計する。データによる裏付けがないため、なぜ効果が出ないのか分からず、改善の打ち手が見つからない。
回避策:Webサイトのアクセス解析や過去のメール配信結果など、利用できるデータは最大限活用しましょう。どのコンテンツがよく見られているか、どんなメールの開封率が高いかといった事実に基づいてシナリオを設計します。そして、運用開始後は必ず効果測定を行い、データに基づいてPDCAサイクルを回し続けることが重要です。
シナリオ設計・運用を成功させるための4つのポイント

MAシナリオの効果を最大化し、継続的に成果を出し続けるためには、いくつかの重要なポイントがあります。ここでは、成功に不可欠な4つの要素を解説します。
シンプルなシナリオから始める
最も重要なのは、スモールスタートを徹底することです。最初から完璧で複雑なシナリオを目指す必要はありません。まずは、「資料請求後のフォローアップ」や「休眠顧客の掘り起こし」など、自社のマーケティング課題の中で最も優先度が高く、成果につながりやすいシンプルなシナリオを1つだけ設定し、確実に運用を開始しましょう。その成果を基に、改善を加えたり、新しいシナリオを追加したりしていくのが成功への近道です。
KPIを設定し効果測定を徹底する
シナリオを設計する際には、必ずそのシナリオの成功を測るためのKPI(重要業績評価指標)を設定します。例えば、「メール開封率」「クリック率」「商談化率」「コンバージョン数」など、シナリオの目的に応じた具体的な数値目標を立てます。
運用開始後は、MAツールのレポート機能を活用して定期的にKPIの進捗を確認します。目標に達しているか、どの部分に課題があるのかをデータに基づいて客観的に評価することが、次の改善アクションにつながります。
定期的にシナリオを見直し改善する
一度設定したシナリオを放置してしまうのは、よくある失敗の一つです。市場環境や顧客のニーズは常に変化しています。そのため、少なくとも四半期に一度など、定期的にシナリオのパフォーマンスを見直し、改善(PDCA)を続けることが不可欠です。
効果測定の結果をもとに、「メールの件名を変えてみる」「コンテンツを差し替える」「アプローチのタイミングを調整する」といった改善策を試し、A/Bテストなどを活用しながら、より効果の高いシナリオへと最適化していきます。
部門間で連携し一貫した顧客体験を提供する
MAはマーケティング部門だけのツールではありません。特に、インサイドセールスや営業、カスタマーサポートといった関連部門との連携が成功の鍵を握ります。例えば、マーケティングが育成した見込み顧客(ホットリード)を営業に引き渡す際の基準や情報共有のルールを明確にしておく必要があります。
部門間で顧客情報やアプローチの状況を共有することで、顧客は一貫したコミュニケーションを受け取ることができます。これにより、部門間の連携ミスによる機会損失を防ぎ、全社として最適な顧客体験を提供できるようになります。
シナリオ設計を効率化するおすすめMAツール5選

効果的なシナリオを設計・運用するためには、自社の目的や規模に合ったMAツールを選ぶことが重要です。ここでは、国内で広く利用されている代表的なMAツールを5つ紹介します。
1. HubSpot
世界で圧倒的なシェアを誇る、インバウンドマーケティングの思想に基づいたMAツールです。MA機能だけでなく、CRM(顧客関係管理)やSFA(営業支援システム)も統合されており、マーケティング、営業、カスタマーサービス全体の情報を一元管理できます。無料プランから始められる手軽さも魅力です。(出典:マーケティングオートメーション(MA)ツールシェアランキングTOP10)
2. SATORI
匿名のWebサイト訪問者(アンノウンリード)へのアプローチに強みを持つ国産MAツールです。導入実績が豊富で、日本のビジネス環境に合わせた機能と手厚いサポート体制が評価されています。シンプルで直感的な操作性も特徴の一つです。(出典:SATORI、3年連続でMAツール認知度No.1を獲得)
3. Marketo Engage (Adobe)
BtoBからBtoCまで、幅広い業種・規模の企業に対応できる高機能なMAツールです。詳細な顧客セグメンテーションや複雑なシナリオ設計が可能で、顧客エンゲージメントを精緻に管理したい企業に向いています。Adobeの他製品との連携も強力です。(出典:Adobe Marketo Engage)
4. BowNow
「無料で始められるMAツール」として知られ、特に中小企業やMA導入の初心者におすすめです。必要な機能をシンプルに絞り込み、低価格で提供しているのが特徴。まずは基本的なシナリオから試してみたいという企業に最適です。(出典:MAツール「BowNow」、見込み客へのアプローチを自動化する新機能)
5. List Finder
BtoBに特化した国産MAツールで、特に中小企業のマーケティング活動に必要な機能が厳選されています。比較的低コストで導入でき、見込み顧客の管理からメール配信、フォーム作成まで、一通りの機能を直感的に利用できます。(出典:BtoB向けMAツール「List Finder」、「Salesforce」との連携機能を強化)
MAシナリオの成果を最大化するAI活用の最新動向

近年、AI(人工知能)技術の進化がMAツールの機能を飛躍的に向上させています。AIを活用することで、これまで以上に精度の高い、パーソナライズされたシナリオの自動運用が可能になります。(出典:MAツール「BowNow」、見込み客へのアプローチを自動化する新機能)
AIによる最適な配信タイミングの予測
過去の膨大な顧客データ(メールの開封履歴、Webサイトの閲覧時間帯など)をAIが分析し、顧客一人ひとりにとって最も反応しやすい曜日や時間帯を予測します。この予測に基づいて配信タイミングを自動で最適化することで、メールの開封率やクリック率を最大化することが期待できます。ただし、高精度な予測には十分なデータ量が必要であり、プライバシー保護の観点から顧客の同意に基づいたデータ利用が前提となります。
コンテンツのパーソナライズ自動化
最新の生成AIを活用し、顧客の属性や過去の行動履歴に基づいて、メールの件名や本文、おすすめする製品などを一人ひとり個別に自動生成します。これにより、手動では不可能だったレベルのきめ細やかなパーソナライズが実現し、顧客エンゲージメントを大幅に高めることができます。(出典:Introducing GPT-5.2)
顧客行動の予測とシナリオ分岐の最適化
AIは、顧客の行動パターンを分析し、将来の行動(購入、解約など)を予測します(プレディクティブスコアリング)。例えば、「解約の兆候がある」と予測された顧客に対しては、特別なサポートやオファーを提供するシナリオを自動で発動させ、顧客離れを未然に防ぐといった活用が可能です。これにより、シナリオはよりプロアクティブ(能動的)なものへと進化します。
シナリオは複雑で不要?スモールスタートの重要性

MAツールの導入を検討する中で、「シナリオ設計は複雑で難しそう」「うちは一斉配信で十分なのでは?」と感じる担当者も少なくありません。しかし、その考えは大きな機会損失につながる可能性があります。
なぜシナリオ設計は「難しい」「不要」と感じるのか
シナリオ設計が難しいと感じる主な理由は、最初から完璧を目指し、あらゆる顧客行動を網羅した複雑な分岐を持つシナリオを作ろうとするためです。また、日々の業務に追われ、シナリオの設計やコンテンツ作成に時間を割けないという現実的な問題もあります。
「不要」と感じる背景には、これまでの一斉配信である程度の成果が出ており、パーソナライズされたアプローチの重要性を実感できていないケースが考えられます。しかし、顧客の目が肥え、情報過多の現代において、画一的なアプローチの効果は確実に低下していきます。
まずは最重要課題を解決する1本から
この「難しい」「不要」という壁を乗り越える鍵は、「スモールスタート」にあります。全社的な壮大な計画を立てるのではなく、まずはマーケティング部門が抱える最も重要な課題を一つだけ選び、それを解決するためのシンプルなシナリオを一本だけ作ってみるのです。
例えば、「商談につながる有望なリードが営業に十分に渡せていない」という課題があれば、「料金ページを閲覧したリードを営業に通知する」というシナリオから始めます。この一本が成功すれば、その効果を社内で共有し、次のシナリオへと展開していくことができます。小さな成功体験を積み重ねることが、MA活用を文化として定着させる最も確実な方法です。
スコアリングとシナリオの連携活用術

MAのシナリオ機能を最大限に活用する上で、スコアリングとの連携は欠かせません。この2つを組み合わせることで、見込み顧客の育成(リードナーチャリング)と選別(リードクオリフィケーション)を高度に自動化できます。
リードの関心度を客観的な数値で可視化する
スコアリングとは、前述の通り、見込み顧客の行動や属性に対して点数を付け、その合計点で顧客の「見込み度合い」を客観的に評価する仕組みです。例えば、「Webサイトへの訪問(+1点)」「メールの開封(+3点)」「料金ページの閲覧(+10点)」「役職が部長以上(+20点)」のように設定します。
これにより、どの見込み顧客が自社製品・サービスに強い関心を持っているのか、あるいは導入の決裁権を持っている可能性が高いのかを、勘や経験に頼らず、データに基づいた客観的な数値で判断できるようになります。
一定スコア到達で見込み客を自動で引き上げる
スコアリングとシナリオの連携で最も強力なのが、スコアをトリガーにしたシナリオです。例えば、「合計スコアが100点に達した」という条件を満たした見込み顧客を「ホットリード」と定義します。
そして、「スコアが100点に達したら、自動的にインサイドセールス担当者に通知し、架電リストに追加する」というシナリオを設定します。これにより、マーケティング部門が育成した見込み顧客の中から、最も確度の高い顧客だけを、最適なタイミングで自動的に営業部門へ引き渡すことが可能になります。これは、マーケティングと営業の連携を強化し、組織全体の生産性を向上させる上で非常に効果的な手法です。
シナリオのPDCAサイクルを回す方法

MAシナリオは、一度設定して終わりではありません。市場や顧客の変化に対応し、継続的に成果を出すためには、PDCAサイクル(Plan-Do-Check-Action)を回し続けることが不可欠です。
効果測定で改善点を発見する(Check)
シナリオを実行(Do)した後は、必ずその結果を検証(Check)します。MAツールのレポート機能を使い、事前に設定したKPI(メール開封率、クリック率、商談化率など)が目標を達成しているかを確認します。
もし数値が想定より低い場合、どこに問題があるのかを分析します。例えば、「開封率が低いなら件名に問題があるかもしれない」「クリック率が低いならメール本文やCTA(Call to Action)の訴求が弱いのかもしれない」といった仮説を立て、データに基づいて改善点を発見することが重要です。
A/Bテストで最適なアプローチを検証する(Action)
改善点が見つかったら、具体的な改善策を実施(Action)します。その際、A/Bテストを活用するのが非常に有効です。A/Bテストとは、一部だけ条件を変えた2つのパターン(AとB)を用意し、どちらがより高い成果を出すかを実際に試して検証する手法です。
例えば、以下のようなテストが考えられます。
- 件名:A「新機能のご案内」 vs B「【導入事例】〇〇社が売上150%UP」
- CTAボタン:A「資料ダウンロード」 vs B「3分でわかる資料はこちら」
- 配信タイミング:A「午前9時」 vs B「午後3時」
A/Bテストの結果、より効果の高かったパターンを正式に採用し、シナリオを改善していきます。このCheck(検証)とAction(改善)のサイクルを継続的に回すことで、MAシナリオの効果を最大化していくことができます。
MAのシナリオ設計にお悩みならAX CAMPへ

本記事ではMAのシナリオ設計について解説しましたが、「理論は理解できても、自社に最適なシナリオを設計するのは難しい」「AIをどう活用すれば良いか具体的にわからない」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。(出典:SATORI、3年連続でMAツール認知度No.1を獲得)
複雑なシナリオ設計や最新AIの活用には、専門的な知識と実践的なノウハウが不可欠です。特に、成果に直結するシナリオを構築し、データに基づいて継続的に改善していくプロセスには、多くの企業が課題を抱えています。
当社の提供する「AX CAMP」は、法人向けに特化した実践型のAI研修・伴走支援サービスです。単なるツールの使い方を学ぶだけでなく、貴社のビジネス課題を深くヒアリングした上で、マーケティングオートメーションの成果を最大化するための具体的なシナリオ設計から、AIを活用した業務自動化までを専門家がマンツーマンでサポートします。
研修では、貴社の実際のデータや課題をテーマに、手を動かしながらAI活用スキルを習得。例えば、WISDOM社様はAX CAMPの支援により、採用予定だった2名分の業務をAIで代替し、毎日2時間の調整業務を自動化することに成功しました。(出典:【WISDOM】AI導入で採用2名分の業務を代替!毎日2時間の調整業務を自動化し、事業のコア業務に集中できる環境へ。) このように、研修で得たスキルが直接業務の効率化やコスト削減につながります。
「MAの運用を次のレベルに引き上げたい」「AIを活用してマーケティングを根本から変革したい」とお考えの担当者様は、ぜひ一度、下記の資料をダウンロードして、AX CAMPがどのように貴社の課題解決に貢献できるかをご確認ください。
まとめ:効果的なMAシナリオでマーケティングを自動化しよう
本記事では、マーケティングオートメーション(MA)におけるシナリオ設計の重要性から、具体的な設計ステップ、成功のポイント、そしてAIを活用した最新動向までを網羅的に解説しました。
効果的なMAシナリオは、顧客一人ひとりに合わせた最適なコミュニケーションを自動化し、企業のマーケティング成果を飛躍的に向上させる力を持っています。重要なポイントを以下にまとめます。
- シナリオは顧客理解(ペルソナ、ジャーニー)から始まる
- 基本4ステップ(ターゲット、タイミング、コンテンツ、チャネル)で論理的に設計する
- シンプルなシナリオから始め(スモールスタート)、PDCAを回して改善を続ける
- スコアリングとの連携でアプローチの精度を向上させる
- AI活用でパーソナライズと予測を高度化し、成果を最大化する
MAシナリオの設計と運用は、一度で完璧なものができるわけではありません。まずは自社の最重要課題を解決するシンプルなシナリオから始め、データに基づいて継続的に改善していくことが成功への鍵です。
もし、シナリオ設計やAIの活用に専門的なサポートが必要な場合は、ぜひ当社の「AX CAMP」をご検討ください。貴社のビジネスに合わせた実践的な研修と伴走支援で、MA活用の成果を最大化するお手伝いをします。詳細は無料相談にてご案内しておりますので、お気軽にお問い合わせください。
