「生産性を上げるために新しい設備を導入したいが、コストがネックだ…」と悩んでいませんか。 青色申告を行う中小企業者であれば、設備投資の負担を大幅に軽減できる可能性があります。
その鍵となるのが「中小企業経営強化税制」です。 この制度を活用すれば、取得した設備の費用をその年に全額経費にできる「即時償却」か、法人税額から直接差し引ける「税額控除」のどちらかを選択できます。
本記事では、2026年最新の情報に基づき、中小企業経営強化税制の対象者や設備、具体的な手続きの流れをチェックリスト付きで徹底解説します。読み終える頃には、自社がこの制度を活用して、いかに賢く生産性向上を実現できるかが明確になるはずです。
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生産性向上に活用できる税額控除「中小企業経営強化税制」とは
中小企業経営強化税制とは、中小企業が経営力を向上させるための設備投資を後押しする税制優遇制度です。青色申告を行う中小企業者等が「経営力向上計画」の認定を受けた上で、特定の設備を取得・製作した場合に、「即時償却」または「税額控除」のいずれか有利な方を選択適用できます。(出典:No.5434 中小企業経営強化税制(中小企業者等が特定経営力向上設備等を取得した場合の特別償却又は税額控除))
この制度は、設備投資に伴う初年度の税負担を大きく軽減することで、企業のキャッシュフロー改善を支援し、積極的な投資を促すことを目的としています。設備投資を検討している企業にとって、非常に心強い味方となるでしょう。
制度の目的と概要
本制度の根幹にあるのは、中小企業等経営強化法です。この法律は、中小企業が直面する人手不足や競争激化といった課題に対し、自社の経営力を高める取り組みを国が支援することを目的に制定されました。
その支援策の柱の一つが、この中小企業経営強化税制です。企業は「経営力向上計画」を作成し、国の認定を受けることで、税制優遇のほか、金融支援や補助金の加点評価といった様々なサポートを受けられるようになります。
2026年時点での適用期限と改正のポイント
中小企業経営強化税制の適用期限は、2027年3月31日まで延長されています。当初は2025年3月31日まででしたが、依然として多くの中小企業が抱える課題に対応するため、税制改正により期間が延長されました。(出典:中小企業庁:経営サポート「経営強化税制」)
また、2025年度の税制改正では内容の見直しも行われています。具体的には、デジタル化設備(C類型)が廃止され、新たに経営規模拡大設備(E類型)が加わりました。これにより、企業は自社の戦略に合わせて、より効果的な設備投資計画を立てることが求められます。(出典:中小企業庁:経営強化税制C類型(経済産業局確認書)について)
税制優遇の対象となる企業と設備【適用要件】
中小企業経営強化税制を利用するには、対象となる「企業」と「設備」の両方の要件を満たす必要があります。自社が該当するか、また導入を検討している設備が対象になるかを事前にしっかり確認することが重要です。(出典:中小企業庁:経営サポート「経営強化税制」)
対象となる中小企業者の定義
本制度の対象となるのは、青色申告書を提出している中小企業者等です。具体的には、以下のいずれかの条件に当てはまる法人または個人が対象となります。
- 資本金の額または出資金の額が1億円以下の法人
- 資本または出資を有しない法人のうち常時使用する従業員数が1,000人以下の法人
- 常時使用する従業員数が1,000人以下の個人事業主
- 協同組合等
ただし、大規模法人から一定以上の出資を受ける「みなし大企業」は対象外となるため、資本関係についても確認が必要です。
対象となる特定経営力向上設備等の詳細
税制優遇の対象となる設備は「特定経営力向上設備等」と呼ばれ、新品であることが前提です。中古資産や貸付用の資産は対象外となる点に注意が必要です。(出典:中小企業庁:中小企業投資促進税制)対象となる設備の種類と、それぞれの最低取得価額は以下の通りです。
| 設備の種類 | 最低取得価額 |
|---|---|
| 機械装置 | 160万円以上 |
| 工具・器具備品 | 30万円以上 |
| 建物附属設備 | 60万円以上 |
| ソフトウェア | 70万円以上 |
| 建物およびその附属設備(E類型) | 1,000万円以上 |
これらの設備は、生産活動やサービスの提供に直接使われるものである必要があります。また、後述するA・B・D・Eいずれかの類型に該当することの証明が求められます。
選べる2つの優遇措置!税額控除と即時償却の違い
中小企業経営強化税制の大きな特長は、企業の財務状況や経営戦略に応じて「税額控除」と「即時償却」の2つの優遇措置から有利な方を選択できる点です。どちらを選ぶかによって、節税効果の現れ方やキャッシュフローへの影響が大きく異なります。
それぞれの仕組みを正しく理解し、自社にとって最適な選択をすることが、この制度を最大限に活用する鍵となります。
税額控除の仕組みとメリット・デメリット
税額控除は、算定された法人税額(または所得税額)から、設備取得価額の一定割合を直接差し引くことができる制度です。控除率は以下の通りです。
- 資本金3,000万円超1億円以下の法人:取得価額の7%
- 資本金3,000万円以下の法人・個人事業主:取得価額の10%
メリットは、支払う税金そのものを直接減らせるため、複数年にわたるトータルの節税額が即時償却より大きくなる点です。安定的に利益が出ており、将来にわたって納税が見込まれる企業にとっては有利な選択肢と言えるでしょう。
一方で、控除額はその事業年度の調整前法人税額の20%が上限となり、上限を超えた分は1年間繰り越すことが可能です。そもそも納税額が少ない場合は、控除の恩恵を十分に受けられない可能性があります。(出典:国税庁 No.5434 中小企業経営強化税制)
即時償却の仕組みとメリット・デメリット
即時償却は、通常であれば法定耐用年数にわたって分割して経費計上(減価償却)する設備取得費用を、取得したその年に全額経費として計上できる制度です。
最大のメリットは、設備を導入した年度の課税所得を大幅に圧縮し、納税額を大きく減らせる点です。これにより、手元資金を確保しやすくなり、資金繰りの改善に直結します。特に、想定以上の利益が出た年度や、大規模な投資でキャッシュフローを重視したい場合に非常に有効です。
ただし、デメリットとして、これはあくまで経費計上の前倒しであり、複数年で見たトータルの経費額は通常の減価償却と変わりません。翌年度以降は計上できる減価償却費がなくなるため、利益水準が同じであれば、かえって税負担が増えることになります。
対象設備で分類される主要類型と要件
中小企業経営強化税制の対象となる設備は、その目的や要件によって複数の「類型」に分類されます。現在、A類型(生産性向上設備)、B類型(収益力強化設備)、D類型(経営資源集約化設備)、E類型(経営規模拡大設備)の4つが定められています。どの類型で申請するかによって手続きや必要書類が異なるため、導入したい設備がどれに該当するかを事前に把握しておくことが不可欠です。(出典:中小企業庁:経営サポート「経営強化税制」)
A類型(生産性向上設備)とB類型(収益力強化設備)
A類型(生産性向上設備)は、生産効率などが旧モデルと比較して年平均1%以上向上する設備が対象です。申請にあたっては、設備メーカーを通じて工業会等から「生産性向上設備等に係る仕様等証明書」を取得する必要があります。手続きが比較的簡潔なため、多くの企業がこのA類型を利用しています。
B類型(収益力強化設備)は、企業の収益力強化に資する設備が対象です。具体的には、投資利益率が年平均7%以上となることが見込まれる投資計画に記載された設備が該当します。こちらは、税理士や公認会計士といった認定経営革新等支援機関による投資計画の事前確認と、経済産業局による確認書の取得が必要となり、A類型よりも手続きが複雑になります。
D類型(経営資源集約化設備)とE類型(経営規模拡大設備)
D類型(経営資源集約化設備)は、M&Aなどによって経営資源を集約化(事業承継等)する際に効果を発揮する設備が対象です。例えば、重複する業務を一元化するためのシステムなどが該当します。この類型もB類型と同様に、認定経営革新等支援機関による事前確認と、経済産業局による確認書の取得が必要です。
E類型(経営規模拡大設備)は、2025年度の税制改正で新たに追加された拡充枠です。売上高100億円超を目指す中小企業による、工場などの建物及びその附属設備(取得価額1,000万円以上)への投資が対象となります。なお、以前は企業のDXを促進するC類型(デジタル化設備)も存在しましたが、この類型は2025年度の税制改正で廃止されました。
【チェックリスト付き】申請から適用までの手続きフロー
中小企業経営強化税制の適用を受けるには、定められた手順に沿って手続きを進める必要があります。特に重要なのが「経営力向上計画」の策定と認定です。ここでは、最も利用されることの多いA類型を例に、申請から税務申告までの流れを解説します。
原則として、設備の取得は経営力向上計画の認定を受けた後に行う必要があるため、スケジューリングには十分注意してください。
STEP1:経営力向上計画の策定と認定
まず、税制優遇を受けるための土台となる「経営力向上計画」を策定します。この計画には、自社の現状分析、目標、そして導入する設備によってどのように経営力を向上させるかの具体的な計画を記載します。
以下に、認定までのチェックリストを示します。
- 【類型A】設備メーカーに依頼し「工業会証明書」を取得する
- 【類型B/D/E】認定経営革新等支援機関に「投資計画の事前確認書」を依頼する
- 【類型B/D/E】経済産業局に申請し「確認書」を取得する
- 経営力向上計画を作成する
- 必要書類を添付し、事業分野に応じた主務大臣(省庁)へ申請する
- 主務大臣から「認定書」を受領する
申請から認定までの標準処理期間は約30日とされていますが、書類の不備などがあるとさらに時間がかかるため、余裕を持った申請が重要です。(出典:経営力向上計画について – 九州経済産業局)
STEP2:設備の取得と税務申告
経営力向上計画の認定を受けた後、計画書に記載した設備を取得します。設備を取得し、事業の用に供した年度の確定申告で、税制優遇の適用を受けるための手続きを行います。
税務申告時のチェックリストは以下の通りです。
- 認定を受けた経営力向上計画書に記載された設備を取得する
- 取得した設備を事業の用に供する
- 確定申告書に必要事項を記載する
- 経営力向上計画の申請書(写し)を添付する
- 経営力向上計画の認定書(写し)を添付する
- 【類型A】工業会証明書(写し)を添付する
- 【類型B/D/E】経済産業局の確認書(写し)等を添付する
これらの書類を添付して税務申告を行うことで、初めて即時償却または税額控除の適用が認められます。
https://media.a-x.inc/business-efficiency-subsidy制度利用前に確認すべき注意点
中小企業経営強化税制は非常に強力な制度ですが、利用にあたってはいくつかの注意点が存在します。特に手続きの順序や対象資産の条件を誤ると、せっかくの優遇措置が受けられなくなる可能性があるため、事前の確認が不可欠です。
経営力向上計画の認定前に設備を取得した場合の対処法
本制度では、経営力向上計画の認定を受けた後に設備を取得することが原則です。しかし、やむを得ず設備を先に取得してしまった場合でも、救済措置が設けられています。
具体的には、設備取得日から60日以内に経営力向上計画の申請が受理されれば、例外的に制度の対象となる可能性があります。ただし、この場合でも、設備を取得した事業年度内に計画の認定を受ける必要があります。ただし、拡充枠であるE類型については、この60日ルールが適用されないため、必ず設備取得前に計画の認定を受ける必要があります。
中古資産や貸付用の資産は対象外となる点
税制優遇の対象となるのは、新品の設備に限られます。そのため、中古資産は中小企業経営強化税制の対象外です。
また、自社で利用するのではなく、他社に貸し付けることを目的としたリース用の資産も対象にはなりません。あくまで自社の生産性向上や収益力強化のために、事業の用に直接供する設備であることが条件となります。
生産性向上 税額控除に関するFAQ
ここでは、中小企業経営強化税制に関してよく寄せられる質問とその回答をまとめました。
Q1. 個人事業主でもこの制度を利用できますか?
はい、利用できます。常時使用する従業員数が1,000人以下で、青色申告を行っている個人事業主であれば対象となります。
Q2. 税額控除と即時償却はどちらがお得ですか?
一概には言えませんが、一般的にトータルの節税額で考えれば税額控除が有利です。一方で、設備を導入した年度のキャッシュフローを重視するなら即時償却が有利になります。自社の利益状況や資金繰りを考慮して、税理士などの専門家と相談の上で判断することをおすすめします。
Q3. 複数の設備を導入する場合、価額は合算できますか?
価額要件は、機械装置であれば「1台または1基」、ソフトウェアであれば「1つ」の取得価額で判断されるため、複数の設備を合算することはできません。例えば、80万円の機械装置を2台導入しても、合計160万円とはならず、要件を満たさないため注意が必要です。
Q4. 経営力向上計画の申請はどこに行えばよいですか?
申請先は、企業の事業分野を管轄する主務大臣(各省庁)となります。例えば、製造業であれば経済産業局、建設業であれば地方整備局など、事業内容によって提出先が異なります。申請前に中小企業庁のウェブサイトなどで自社の提出先を確認してください。
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中小企業経営強化税制を活用して最新設備を導入することは、生産性向上の大きな一歩です。しかし、その効果を最大化するためには、設備という「ハードウェア」だけでなく、業務プロセスや従業員のスキルといった「ソフトウェア」のアップデートも欠かせません。
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まとめ:生産性向上税額控除(中小企業経営強化税制)で賢く設備投資
本記事では、中小企業の生産性向上を支援する「中小企業経営強化税制」について、制度の概要から対象要件、手続きの流れ、注意点までを網羅的に解説しました。(出典:中小企業庁:経営サポート「経営強化税制」)
改めて重要なポイントをまとめます。
- 適用期限は2027年3月31日まで。青色申告を行う中小企業が対象。
- 「即時償却」か「税額控除(最大10%)」の有利な方を選択可能。
- 原則、「経営力向上計画」の認定後に設備を取得する必要がある。
- 対象設備には機械装置(160万円以上)やソフトウェア(70万円以上)などがある。
この税制を有効活用することで、設備投資の初期負担を大幅に軽減し、企業の成長を加速させることができます。しかし、設備の導入だけで満足するのではなく、その設備をいかに使いこなし、さらなる業務効率化に繋げるかが重要です。
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